コラム
Volume
19

EC(ネットショップ)で売上げが伸びない理由とは

ECサイト(ネットショップ)を作ったものの、購買につながらない、売上げが伸びないとお悩みのネットショップ担当者の方も多いのではないでしょうか。いくつかのデータを参考に、その原因について探っていきたいと思います。

ECサイトを制作したものの売上げにつながらない…。こんな悩みをお抱えの方も少なくないでしょう。
まずは、ご自身が逆の立場に立って(ユーザーの視点で)考えてみるとよいでしょう。「ただそこにあるショップ」と「細部にまで手入れされた信頼感のあるショップ」があるとしましょう。どちらを選ぶのか、明らかではないでしょうか。

一方で、気になるデータもあります。ネットショップ担当者へのアンケート結果などを見ていくと、「上司や経営者の理解不足」という回答が上位を占めているようです。次いで、人材不足、予算不足が挙がっています。日本は小規模事業者が多い国のひとつですので、予算についてはしかたのない面もあるといえるでしょう。しかし、“ECに投資しない”ということは、売上を上げる(あるいは維持する)機会を損失していることになると考えられます。

ユーザーがネットショップを利用しない理由

総務省の情報通信白書(平成27年版)では、「ネットショッピングを利用しない理由」として、さまざまな理由が挙げられています。
その中でも割合が高く、目を引くのが以下の項目です。

ネットショッピングを利用しない理由
(総務省 情報通信白書 平成27年版を元に作成)

1. ネットショッピング事業者の信頼性が低い

「ネットショッピング事業者の信頼性が低いから」と回答した割合は23.0%。
発送までにかかる時間を短縮してできるだけ早く手元に届ける工夫をする、梱包を丁寧に行なうといった“体感”できる部分に改善の余地がある場合は、優先的に行なうとよいでしょう。信頼を得るには、ECサイトだけでなく、運用方法自体を見直すことも大切です。

また、ECサイトのデザインを信頼感のあるものにしたり、ユーザビリティ(使いやすく、効率的に、満足できるように使えるか)の高い設計を行なうことで、利用者の持つ悪いイメージを改善することもできるでしょう

2. 決済手段のセキュリティに不安がある

「決済手段のセキュリティに不安があるから」と回答した割合は22.5%。
こちらは、ネットでクレジットカードを使用すること自体に抵抗があるというユーザーが一定数存在すると想像されます。銀行振込や代金引換といった決済手段を用意することで、心理的な敷居を低くすることができると考えられます
Amazon Payや楽天ペイなどを取り入れるのもひとつの方法です。

また、このショップならカード情報を入力しても問題なさそう、と思ってもらえるようなショップづくりも必要です。デザインがゴチャゴチャしていたり、古い印象を与えていたりするような場合には、デザインリニューアルも視野に入れるとよいと思います。

3. 実物を見たり触ったりして購入したい

「実店舗で実物を見たり触ったりして購入したいから」は18.1%。
写真や文章でしか伝えることができないECは、この点においては実店舗には敵いません。ですので、実店舗以上にストーリーや作り手の思い入れ、類似商品との違いなどを伝える必要があるでしょう。つまり、“この商品を購入する理由”とは何かをしっかりと考え、ユーザーに伝えていかなくてはなりません

なお、同データでは、50代で23.8%、60代で36.2%と、年齢が高くなるほど顕著に現れています。このことから、ターゲットの年齢層が高い商材を扱う場合には、特に配慮しておく必要があるといえるでしょう。

離脱やカゴ落ちの原因とは

2019年に1,000人のEC利用者を対象に行われた調査は、また別の教訓を与えてくれそうです。

過去6か月間に小売サイトで買い物をしたときに、次のうちどれを経験しましたか?
出典:Digital Commerce 360/Bizrate Insights 2019 Web Design  survey of 1,000 online shoppers.

商品画像が少ない

情報通信白書の調査結果にもありましたが、実店舗のように実物を見たり触れたりすることができないECでは、画像の重要性が高くなります。百聞は一見に如かず、という言葉が示す通り、「見る」ことによる情報量は膨大です。

しかし、実際には45%ものユーザーが「画像が少ない」と回答しており、ユーザーの期待に応えられていないことが窺えます。購入決定を大きく左右する要素のひとつといえますので、商品のイメージをしっかり掴んでもらえるよう配慮することが肝要です

商品説明の情報不足

商品説明についても、45%ものユーザーが「不足している」と感じています。
店頭であれば、手に取って、見て、触れることでわかるような情報や、接客によって補える情報も、ECではきちんと説明文やスペック表などで伝えていかなくてはいけません

例えば、とある服飾のECサイトでは大きくて豊富な商品画像、素材構成や特長など商品イメージを伝えることはある程度満たせています。
しかし、サイズ表記に大きな問題があります。S、M、Lといった表記だけで、肩幅/身幅/着丈など“サイズ感”を示してくれる要素がありません。
これでは、“ゆったり”なのか“スリム”なのかさえわかりません。「もし自分のイメージと異なるものが届いたらどうしよう」と考えると、恐くて買えそうにありません。

決済画面に行かないと送料がわからない

あなたもネットショップで買い物をしていて、「送料がわかりにくい」と感じた経験はないでしょうか。配送料は必ず発生するものですが、ユーザーから見れば、商品以外の“追加費用”に見えてしまいがちです。せっかく商品を気に入ってもらえたとしても、決済画面に行ってはじめて「送料 1,000円」などということになれば、離脱の原因になりかねません

可能であれば、「○○○○円以上で送料無料」といった施策ができればベストです。ただ、それが難しい場合でも、予め送料についてわかりやすい表示をしておくことが大切です。
送料の分かりにくさは「カゴ落ち」(商品をカートに入れたにも関わらず、購入されないこと)の原因のひとつですので、送料がわかりにくい場合は早急に改善しましょう。

ECサイトでよくある課題

ここまでは、データを元に売れない理由を見てきました。
しかし、これらの原因はユーザーが感じている表層のものでしかありません。根底には、ECサイトを構築、あるいは運用するにあたり、さまざまな問題が絡んでいます。

事前に目標を定める

どのような人に、どんな商品を、どのように売るか

このことを事前に決めておきましょう。既にショップを運用中で、うまくいっていない場合は、改めて見直しましょう。ターゲットが広すぎる、想定するターゲット層がズレている、ターゲットに対して商品の見せ方が間違っている、といったことがないように注意しましょう

その上で、そのショップだけのコンセプト、ストーリーといった世界観を作り上げ、「ここで買う理由」にまで育てることを目標にしたいところです。別途コーポレートサイトがある場合は、そちらとの連携も重要です。

ECサイト構築はゴールではない

ECサイトは作ることがゴールではありません
構築後は、販売スケジュールやイベントなどの計画を立て、どのように展開していくかを考え、実施していきましょう。よほど他にない特別な商品でもない限り、ECサイトを作れば売れるということはまずありません。サイトの構築後、どれだけ本気で、丁寧に取り組めるかが成功と失敗の分かれ道です。

「テンプレートがあるからとりあえず作ってみた」というような軽い動機では、スタート地点にさえ立てていないといえるでしょう

ECはひとつの事業と考える

また、中小企業にありがちなのが、予算は限りなく少ないのに、目先の売上げを求めたり、高すぎる売上目標があるなどといったケースです。恐らくほとんどの事業に共通することだと思いますが、少ない投資で大きなリターンを得られることはまずありません。中長期的な視点で投資を行なう必要があるでしょう

本気でECをするのであれば、投資においても、運用においても妥協はできません。特に立ち上げ当初は、制作費の回収や認知のための広告費、担当者のノウハウ不足(ショップ担当者だけでなく、梱包や出荷手配などすべてにおいて)、顧客単価の低さなどの原因で利益が出にくい状態です。

すぐに結果が出ないと諦めてしまう企業が多いようですが、時間をかけてノウハウを蓄積し、顧客単価を上げたりリピーターを増やす努力を続けていくことが求められます

ネットショップ担当者の課題

人材の確保が難しい中小企業では、専任のショップ担当者を置くことが難しく、多くの場合において事務や営業の方が兼任しています。しかし、片手間では売上げにつなげることはできません。「ひとつの事業」がそんなに簡単にできるのであれば、売上げが増えずに困っている企業はもっと少ないはずです

また、ネットショップを任されているにも関わらず、権限がなく承認に時間がかかりすぎたり、企画を立てても社内の理解を得られずお蔵入り、といったことも少なくありません。

ECサイトを軌道に乗せるためには、根気よくECサイトの運用を続けること、ネットショップ担当者に専念できる時間を与えること(可能なら専任で)、相応の権限を与えることも必要になってきます

社内では難しい時は、信頼できるパートナーに相談

ネットショップ担当者がノウハウを蓄積するのは重要ですが、担当者の作業はECサイトの運用そのものだけではなく、販促企画、商品開発、受注処理、出荷業務、在庫管理、集客、SEOなど多岐にわたることが多いです。とても一人の手で負えるものではありませんし、負荷が大きすぎるといえるでしょう。
そのような場合には、経験のある制作会社などに相談してみるのも一策です。

自社のことはなかなか外からどう見えているのかわかりませんが、第三者の視点での客観的なアドバイスが期待できます。また、カゴ落ちの原因と対策の提案や、サイト全体のテコ入れ、SEO対策など、さまざまな経験に基づいた改善提案も期待できるでしょう
「自社ですべてできる」という自信がないのであれば、検討する価値はあると思います。信頼できる制作会社に要件を絞って依頼すれば、自社で人件費をかけるよりも、時間的にもコスト的にも有利で、 成果を見込める可能性が高いです

シンカーデザインでは、さまざまなECサイトの構築・運用・改善の経験をもとに、新規ECサイトの構築から、既存サイトの改善まで、お客様の課題やお悩みにあわせたご提案をいたします。